『青くて痛くて脆い』(2020年)
※ネタバレ表現があります。ご注意ください。
観た日:2020.9.8
◯はじめに
・以下は原作ファンの感想である
もともと原作が好きで、映画化が発表された時から楽しみでした。主要キャストさんも信頼しかなくて、原作が好きな作品の二次創作物には基本関わらないようにしているのだけど、これは観るしかないじゃんって思ってました。ちなみに『君の膵臓を食べたい』は原作好きゆえ映画観てない。
◯好きなところ
・安心安定のキャスト陣
杉咲花さんが好きなんですよ(唐突)。好きな女優さんって聞かれてぱっと思いつくのが杉咲花さんと高畑充希さんで、演技が好きなはずがお二人とも見た目の雰囲気も似てるなと思いました。
それは置いといて、吉沢亮さんや柄本佑さんは別作品を観て素敵だなと思っていたし、予告等を観た段階で岡山天音さんの"ぽさ"が最高だなと思っていて、キャストに関してはほっとんど心配してなかった。
そして鑑賞後、ノーマークだったぽんちゃんの"ぽんちゃんぽさ"が天才的だったことに感動しました。強い。めっちゃ固めてるやん。ありがてえ。
・パラパラ漫画の演出
冒頭からこう来るのか…とニヤけてしまった。演出自体の必要不必要は置いといて、純粋に好きな演出でした。
・楓の痛さ
住野先生が「もともと楓のことは嫌いじゃなかったのだけど、映画を観て嫌いになりました(意訳)」みたいなコメントをされていたのだけど、観終わってなるほどと思いました。楓の我が儘さ、自分勝手さが小説よりも強調される脚本だった。
ちょっと話変わるのだが、原作を最初読んだ時は楓のことを嫌なやつとはあまり思えなくて、彼がそういう風に評されているのを聞いてもあまりしっくりこなかったのだけど、映画を観て確信しました。我が儘で、自分勝手で、痛くて、嫌なやつ。
彼の、母親が自分以外のことを相手にしているときの拗ねた子供のような、そういう我が儘さがうまく演出されていて、うまく表現されてるなと思いました。
あと、楓の考えた「なりたい自分になれたら、」ががっつり映像として、その世界線のシーンも撮影してるのが良いなと思いました。より一層"現状"との落差が際立っていて。
・原作の好きなところが残っていた。
少し原作を読んだ時の感想も入ってくるのですが、私は秋好のこともぶっちゃけそんなに好きではなくて、初見の時はどちらかと言えば楓側の視点で読んでいたんです(映画観る前にもう一度読んだ時は秋好側で読んだ)。その時にどうしても、秋好の、楓と話してた時に「私のこと好きだったの?」に行きつく思考回路が理解できなかったんですよね。そして私の思う通り、楓も恋愛感情は一切持っていないことを文面から感じ取った。
けれど映画化にあたって、キャストがキャストなこともあり、あそこで恋愛感情持ってるように感じられる演出になってたらとても嫌だなと思っていたのですけど、少なくとも私が観た感じそういったことは感じられなくてとても嬉しかった。
あと、原作での最後の終わり方も好きだったので、映像でもその感じ残してくれてて良かったです。
◯あんまり好きじゃないところ
・原作の川原さん好きなんですよね
ゆえに出番もヤンキー感も減ってる感じが残念でした。キャストさんも多分、かっこいいよりも綺麗・かわいいで売ってる方なんじゃないかな~。わからんけど。そんな雰囲気がした。
・楓があそこまでやるのか、できるのかという疑問
基本全てにおいて原作よりも誇張された表現をされている印象で(これはこの作品だけに限らず、小説原作の実写って基本そういうもんだという偏見を持ってる)、だからこそ楓の痛さも際立っているのだけど、ラストの自分をSNSに載せるというのは、そこまでするかなという印象でした。原作にもなかったシーンじゃないかなぁ…わからんけど…
基本的に楓は弱い人間だと思っていて、自分からああいうリスクを負おうとする人間性には思えなかったんだよな。
まあそれが楓の、秋好に会った、秋好を傷つけたゆえの"成長"なのかもしれないけど。
◯おわりに
・原作の記憶を消してから観たい
もう一度映画であの衝撃を味わいたい。
それはともかく、最近映画館で観た映画の中では断トツで良作品だったし、原作知ってる作品の映像化の中でも良でした。