『宇宙を駆けるよだか』(NETFLIX)
※一部ネタバレ表現があります。ご注意ください。
観た日:2020.8.3
◯はじめに
・前評判のハードルも優に超える
とにっかく前評判が良くて、かつ重岡さん神山さんのお芝居も好きで、富田さんも素敵な女優さんなんだろうなとお昼の番組を観て思っていて、その上でテーマがテーマなだけあり、自身の傷跡にナイフ突き刺されてこじ開けられる可能性もあるよなとも思ってました。そして1話観た時にNot for meな予感…やめてくれ…と思ったものの前評判を信じて観続けました。
めっちゃ良かった…びっくりした…1話を観て思った「こういう結末になるのは嫌だ」「この感情を拾い上げてくれないのは嫌だ」などと思っていたこと、全部がそうはならなかった。物語のわかりやすさを重視した時には捨てられてしまうだろう感情も全部描写されていて、観ていてつらくもあったけど同じだけ救われたような気がした。思い出して泣きそうになってる。
◯好きなところ
・悪役なんていない世界
この作品の予告か何かを観た時に、なんとなく美(小日向あゆみ)が善で醜(海根然子)が悪みたいな対比を感じて、それはとても嫌だなと思ったのです。そして、ドラマの1話を観た時もこれを感じた。だからNot for meな予感がしたのだけど、このドラマはそれだけで終わらせることはしなかった。
見た目の美醜よりも、性格の美醜のほうが重要なのかもしれない。この作品での美醜の2人は、見た目だけでなく中身でも同じく美と醜に分けられていた。
こういった作品の典型的なパターンだと、結局見た目が変わっても中身が同じなら変わらないだろ、大事なのは自分の中身がどうあるかなんだよ、という主張だけで終わると思うの。でもこの作品はそうじゃなかった。そこがとても救われたところなのです。
自分は何もしていないのに暴言を吐かれることもあった、見た目が醜いというだけで生きづらさを感じた。そんな日々をずっと送ってきたなら、まっすぐな性格でいられたかなんてわからない。そうやって言ってくれたのが、とても、とても、良い作品だなと思った所以なのです。
見た目の美醜か性格の美醜か。そういったテーマを持って作られた作品は探せば他にもあると思うのだけど、ここまで深く、複雑に、そしてリアルに描いたものはそう無いんじゃないかな。ありがとうございました。
・シロちゃん…………
オタク口調で話してしまうことを許してほしい。
火賀にももちろん重めの感情を抱いてしまったことは認めるけど、観終わってしばらくしてからシロちゃんのことを考えていると、ちょっと激重感情が抑えきれなかった。
シロちゃんさあ…どんな感情でずっと動いてたんよほんま…「馬鹿だなあ」にはどれだけの感情が込められていたんだよ…暗闇に入るあゆみちゃんを自分が助けられないことにどれだけ…どれだけさあ…
ヒューマンストーリーとしても、恋愛ドラマとしても楽しめる、そんな作品になっております。
・役者さんがすごい
贔屓目が多少あるかもしれないことを最初に断っておく。
何よりも富田さん清原さんの女優陣が最高。表情、仕草、声の出し方で違う人間だってわかる。すごい。一番最後の中身が火賀とシロちゃんになってるところもめっちゃ火賀とシロちゃんでびっくりしちゃった。すごい。
あと冒頭でも話した通り私は重岡さん神山さんのお芝居が最高に好きなんですけどね…あの…良かったっすわ…重岡さんのどこまでも自然体なお芝居。神山さんの丁寧なお芝居。どちらもすごく素敵で、それが一緒に味わえるのとても良き。
あと主題歌のアカツキがドラマ観る前からめっちゃ好きなんですけど、ドラマ観てから聴くとしっかりドラマとリンクさせてて、この歌詞はそういう意味かあ~~!!と新たな発見があったりもしました。
◯あんまり好きじゃないところ
・赤月研究
宇金さんと天ヶ瀬さんについてが、なんかふわふわしてたなあという印象。まあドラマの中では「赤月で入れ替わったら元には戻れない」「入れ替わりに関係する人の下にインコがやってくる」とか、ある程度ストーリーの"流れ"に必要なキャラクターという雰囲気がしたから(原作だとまた違うキャラクターぽいけど)あまり深く描く必要はなかったのかもしれない。そこも深く突き詰めようと思えば確実に話数足りないもんね。
観終わった今でこそ、なんかふわふわしてたなという印象は残ってるけど、でも2人とも入れ替わる前のシーンもあったし、決して雑に描かれていたというわけじゃないというのは言っておきます。
◯おわりに
・ぜひ観てほしい作品です
絶対に後悔はさせない。とても良かった。観ながらいろんな感情が渦巻くと思う。つらいなと思うこともあると思う。でも絶対に後悔はしない。観てほしいです。
あとNETFLIXに登録した際には『炎の転校生 REBORN』もよろしくお願いします。