『野分けのあとに』(和田真希/産業編集センター)
※一部ネタバレ表現があります。未読の方はご注意ください。
読んだ日:2020.4.7
◯はじめに
とんだ飯テロ小説だぜ。
表紙とタイトルに惹かれて読んだ作品。
昼時に読んだから余計効いたね。読んでる最中どんどんお腹が空いてきた。
◯好きなところ
・1人の女性の人生
農業を始めて山の中に暮らすことを決めた女性の話。中で主に描かれている時間軸では、特になにも起こらず、畑を作って、鶏を育てて、田植えをして、農家としての生活が淡々と描かれている。
どうやら作者さんの実話を基に書いた作品のような雰囲気。ちゃんと調べてないけど。
現在の時間軸でなにも起こらないが故に、冒頭数ページであ、苦手なタイプだったかなと思ったのだけど、主人公の回想に入ってからは心が重くなった。
・姉妹、親子、家族
この世の中は何故か意味もなく血の縁が素敵なものだとする節がある。家族だからとか兄弟だからとか言われんの私自身嫌いなんやけど、嫌いだからこそ主人公の実家での回想は辛くて、でもこれを描いてくれるってのに救われた気もした。血縁そのものに大きな意味はないんだって、伝えてくれてる気がした。
・自分で変われる
自分で自分を救うしかない。自分で自分を変えるしかない。自分の心は、自分で耕すしかない。辛いことはあって、心が折れることもあって、身体壊れることもあって、でも変われる。人に頼るんじゃない、自分で変えるしかない。そう教えてくれた。
・言葉が綺麗
今本が手元にないから例が出せんのやけど、言葉の選び方が綺麗で言い回しが好きな言葉多かった。作者さんの優しさというか、柔らかさというか、そういうのが滲み出た文章だった。
◯あんまり好きじゃないところ
・文章構成
さっき少し話したけど、回想以外はちゃんと起承転結あるってわけじゃないから最後の方とかちょっと読んでて眠くなったかな。あと難しい言い回しというか、凝った言葉がほとんど無かったから本読み慣れてない人向けかもしれん。私はまあ中村文則著作が好きなのでそれだけで察していただけたら嬉しいんですけど…
◯おわりに
自然の優しさ、暖かさ
雑草、林、鶏、稲。やっぱり自然って優しいなって思った。その優しさを読みながら感じることができて、幸せな気分になったな。暖かい春にぴったりやなって感じ。ふふ。